ト部蛸焼のブログ

日頃知ったことをアウトプットするためのブログ

学部時代の履修をまとめてみました

お久しぶりです.この春から大学院に入学し,修士生活を始めたばかりのト部蛸焼と申します.今回は学部時代の時間割をご紹介します.私の時間割は,学科の関係者からすれば非常に平々凡々なのですが,却ってその方が認知度が低い*1「計数工学科」をより知ってもらえることだろうと思い,記事にしてみました.

なお,この記事はかせがお氏の以下の記事を機に執筆しました.併せてお読みいただくと,より計数工学科のことを知ることができるかもしれません.「履修計画はB2の間に卒業分までなんとなく決めておこう」←わかる
kasega0.hateblo.jp

おことわり

  • 以下の内容はあくまで私の経験に基づくものです.現在に同名の講義が存在していたとしても,この記事の内容とは異なる内容で開講されている可能性があります
  • カリキュラムが時不変である保証はありません.こんなことはないと思いますが,特に計数工学科に進学した際にはカリキュラムについてこの記事を鵜呑みにすることはおすすめしません
  • 色分けが見づらい場合があると思います.申し訳ございません.

初々しいB2時代

ここでは,学部2年のうち計数に進学が内定してからすぐの2Aセメスターだけを紹介します.ターム制の講義を受講した都合で,2つの時間割が存在しています.各時間割のコマには色が付いていますが,これは単位の取得に関わる条件を表すものです.詳細は割愛しますが,黄色についてだけ注記しておくと,これは必修科目を表しています.

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時間割 (B2-A1)
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時間割 (B2-A2)

水曜5限の「数理手法V」以外は計数の学生の時間割によくある講義だと思います.いくつかの講義の内容をご紹介します.

1. 基礎数理
この講義では,集合やグラフ(劣モジュラ性,ラミナー,二項関係,強連結成分分解,完全マッチングなど),級数の収束性,工学的線形代数(行列の標準形,固有値に関する定理など)といった事柄を学びました.進度がやや速く,怒濤の如く授業が駆け抜けていきました*2.「計数工学科に進学した学生が立ち向かう最初にして最大の敵」とも言えるのではないでしょうか.

2. 数理手法V
この講義は現在やや形を変えているようです.私が受講したときは,工学部に必要な数学として位相・多様体上の微積分・群の表現論の3つを学びました.今になって顧みると,この講義は代数に興味を持ったきっかけとなる講義だったのかもしれません*3

3. 数学及力学演習I
この講義では常微分方程式の解き方を学んだ記憶があります.計数工学科には数学が得意な方がごまんといますが,そんな方たちが炙り出される授業でした.その意味では,以後の学生生活で頼みの綱を見つけるいい機会だったのかもしれません.世の中には「名は体を表す」とも限らない物事もあり,例えばこの講義ではあまり力学を取り扱いませんでした.


控室・図書室・教室を巡回したB3時代

B3になり本郷*4での生活が本格的に始まります.本郷には学生の荷物置き場兼憩いの場である控室が存在しており,また学生の勉強部屋兼図書室の図書室(?)も存在しております.私はほぼ毎日のように控室*5に入り浸り,学友との会話を楽しんだり一人で勉強に勤しんだりしました.

B3-S

Sセメスターはターム講義を取っていたため2種類の時間割があります.
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時間割 (B3-S1)
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時間割 (B3-S2)

6限を受けて次の日の1限に出るというのはなかなか大変でした.ここでは2つの講義をご紹介しましょう.

1. ○○数理工学
……と言いつつ,ここは過去の記事に譲ります.以下の記事の「計数数理での勉強 ~〇〇数理工学~」という項をご覧ください.
tobetakoyaki.hatenablog.com

2. 計数工学プログラミング演習・数理情報工学演習第一C
C言語によるプログラミングの演習授業で,学部生に必要なアルゴリズムの知識に当たるソートアルゴリズム動的計画法を取り扱いました.実習科目の場合,時間がかかる人はどうしてもかなりの時間がかかってしまうものです.私の代ではおやつの時間に始めて夕ご飯を食べ終わる頃にようやく帰れたという人も居ました.


B3-A

早速,時間割をご覧ください.
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時間割 (B3-A)

計数に進んで1年,時間割は「イエベ」から「ブルベ」に移った気がします.似合う服の色も変化していそうです.

講義紹介です.

1. 〇〇数理工学 [再]
ここは昔書いた記事に譲ります.以下の記事の「計数数理での勉強 ~〇〇数理工学~」という項をご覧ください.
tobetakoyaki.hatenablog.comもう見た (ポプテピ流行ったのこの辺だっけか)

2. 情報理論
講義名の通り,エントロピー相互情報量などの概念を始めとし,通信路符号化定理やTuringマシン*6などの事項を学びました.時間帯は1限,この時間に難しい数式と挌闘するのはなかなかにヘビーでした.学部時代の科目の中で一,二を争うほど好きな講義でした.

3. 脳科学入門
今思うと時間割の中では他の講義とは毛色が異なっていますね.当時,脳科学に興味がある人と会う機会が多かったからか,単純に「脳って不思議やねぇ〜」という思いが強かったからか,よく覚えていませんが受講しました.

実は情報理工の数理情報学専攻には脳を扱う研究室もあり,この講義はそちらに所属する方々がオムニバス形式で登壇して講演をしてくださるものでした.脳の数理モデルの回では「こんなことも数学で定式化できるんだ」と驚いたものです.


院試に卒論に大忙し(?) のB4時代

ここまで来て必要な単位が必修だけになった私は何も考えずに講義を取りました.夏前は空きコマに院試勉強を,夏後はひたすら卒論を,あるいは控室で一人ジェンガしていました.

B4-S

時間割はこちら.
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時間割 (B4-S)

講義紹介です.

1. 機械学習の数理
この講義では機械学習をその数理的背景をきちんと理解した上で使いこなすためには必要な講義だと思います.講義はMDL原理に軸を据え,そこを起点に様々な定理を考察していたため,難易度は高いですが理解はしやすいものだったと思います.とはいえ,私は機械学習に疎いため,毎週の板書を「?」が書かれた眼鏡で眺めつづけてしまいましたが.

2. 数理情報工学実験第二
計数工学科はB4のSセメスターでも卒論の研究室配属はありません.その代わりなのでしょうか,数理情報工学コースの学生はこの講義で各研究室にお邪魔し,グループでプロジェクトを行います.この講義は研究室の雰囲気を少しですが味わえる,計数の特に数理民*7には稀有な機会だったと思います.


B4-A

時間割はこちら.ここには書いていませんが,この他に研究室の輪講の時間が1コマ分だけ入っております.この時期は卒論とこの演習の講義で出されるレポートに打ち込みました*8
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時間割 (B4-A)

跋文

以上の時間割を経て私は大学を卒業したわけですが,今もって振り返るとどの講義の内容も受けて為になったものでした.いろいろな分野を広く学ぶ前期教養の体系も面白かったものの,こうして自分の専門を追究するのも悪くありません.ところで衒学的に難しい言葉を使うと嫌われるらしいです.跋文とは後書きのことを指すのですが,今後は言葉遣いに気をつけます.

*1:認知度が低いと思っているのは私だけかもしれません.

*2:これは前期教養で学ぶ数学と計数で学ぶ数学のギャップを埋めるためには些か仕方ないことでしょう.後学の皆さんは諦めて頑張ってください.力がつくことは間違いありません.ところで私にこれらの力がついているかということはここでは聞いてはいけません.

*3:こんなことを言ってしまいましたが,別に群の表現論は全く好きではありません.まだ環論や体論のほうが面白いです.

*4:そもそもB2の間は金曜日だけ本郷での生活を送りますが,あとの4日は駒場での生活となります.

*5:黄緑色の椅子が好きでした.

*6:私は人名を極力英語表記で書くよう努めているのですが,そうすると「Turing machine」を「Turingマシン」と書いたり,「compact-Hausdorff」を「コンパクトHausdorff」と書いたり,ちんちくりんな事案が発生するので困っています.良案ある方,ご教授くださると幸甚です.

*7:数理情報工学コースの学生のことをここではこう呼んでいます.

*8:打ち込んだことにします.