ト部蛸焼のブログ

日頃知ったことをアウトプットするためのブログ

某の反省

今回は,つい最近まで私の心身を圧迫し続けていた,とあるものについて反省と自分なりの教訓を書きます.

超基本編

まずは研究そのものというよりもその周縁についてです.

時間を有効活用すべし

これは何にでも当てはまることだと思いますが,普段からTwitterの合間に諸所の活動をしているようでは,これがなかなかできません.今は何をするべきかをよく考えて,計画的にTwitterをするべきだと感じました.これから頑張ります.

指導教員とは密に連絡を

なぜこれが重要かは言うまでもないと思います.私の場合,平時は一週間に一度ほどミーティングをしていただきましたが,研究に何か動きがあったら随時,ミーティングとまではいかずとも報告をすべきだと思いました

報連相をしっかりやれ」と巷間では言われます*1 が,本当にその通りだと思います.指導教員の邪魔をしすぎない程度*2 に連絡をとるのが良いと思います,多分.

研究はエネルギーの賜物

体力は重要です.エネルギーが不足していると「大学生」の生活は難しいと思います.研究+人間関係+バイトをどれも良く熟すには,それらに万全に当たれるだけの気力と体力が必須なのでしょう.私にはそんなものはなかったね……うん……なかった……

研究編

ここからは特に研究に関わる部分を考えます.

環境設定はお早めに

人生において最も困難な問題は環境設定です.かの有名な孟子の母ですら環境設定のために三回も引越しをしました.

「いや,環境設定ってそういうことじゃないだろ」とツッコんだあなた……

この「環境」にはズバリ「自分を取り巻くもの」の意味の「環境」も含まれます.詳しく話します.

普段,あなたはどこで一日を過ごしていますか.自室,図書室(図書館),学科控室,バイト先,恋人の家*3…… 一方で,研究室に配属されたらどこで一日を過ごしますか.

研究室で過ごすにせよそうでないにせよ,普段から自分が研究に使う場所を確保しておくことは非常に重要なことです.

今後,研究室で一日の大半を過ごすようになれば,自分のデスク周りの環境整備は重要な課題になるわけです.スリッパを用意したり,机上にかわいいぬいぐるみを置いたり,コーヒーメーカーを持ってきたり…… 研究を快適に行えるように,その場所の環境を整えることも必要です.

その上で,パソコンの環境設定も重要になるでしょう.例えば論文をLaTeXで書く必要がある場合,その環境は整っていますか.BibTeX*4 はちゃんと使えますか.Beamerを使ってスライド発表をする場合,Beamerの使い方には慣れていますか.PowerPointを使う場合は,数式入力の仕方をきちんとマスターしていますか.論文やスライドに貼り付ける図はうまく描けますか.離散数学やりたいメイツはグラフを描画できますか*5.……などど研究の過程のどこかしらで必要になることはたくさんあります.

環境設定は意外に時間がかかるものです.早めに済ませておいて悪いことはありません.このブログを中断してでも今すぐ環境設定をしましょう.さようなら!

前提知識は書籍が一番

本当に環境設定に走った人がいるのか気になりますが先に進みます.

これは私の失敗談なのですが,卒論では研究の前提知識をひたすら論文から得ようとしていました.そのせいなのか,自分の論文を書くときになって,自分が書き留めてきた用語の定義に一貫性がなかったり,現在のテーマとは全く異なる観点の定義を載せていたりと,統一性がなく困ってしまいました.

とある友人は自分の研究を始める前にその分野の書籍を一冊借りて丁寧に基礎知識を蓄えておりました.やはり書籍が系統的に知識を獲得できる最短路なのでしょう.次は私も書籍でまとまった知識を集めるところから始めたいところです*6

論文読みは「穴」探し

昔,とある講義で「研究にはツッコミ力が大事」と教授に叩き込まれた記憶があります*7.これは本当にその通りだと思います.「その証明は本当?」「ここの条件を変えたらどうなる?」「なんでここの証明でこの定理を使ったの?」など,論文を読み進める上で逐一「どうして?」とツッコミを入れることが大事だと思いました.もちろん論文を書くときでも同じことが言えるでしょう.

これだと教授の受け売りになってしまうのでセクションのタイトルは「穴探し」に変えてみました.これだとただの剽窃となんら変わらないので,研究ではこういうことはしちゃだめだよ!

紙ノートと電子ノート

このテーマは特に私が卒論で強く意識させられたことです.

私は普段の講義や自学の際にはiPadのGoodnotesというアプリを使っています.iPadにノートを取ると,重たい紙ノートを何冊も持ち歩くなんてことがないため,とても重宝しています.しかし,このような電子ノートは後で見返すときのハードルが高いように感じます.

「この前やったあの計算,どこに書いたっけ……」なんてとき,電子ノートでそれを探索するなら,1ページずつスクロールして目当ての場所を探すことになります*8.これだと,なんとなくですが,見つけるまでに \Omega (N)時間はかかりそうです*9.それに対して,紙ノートはパサッパサッと捲ってあっという間に探索できます*10

このような点から,後で見返す便宜を考えたら「紙ノートの活用も捨てたものではない」と思いました.

友人を巻き込む

中学校から高校ぐらいの頃,私は塊魂というゲームが好きでした.やけに横に顔が長い緑色のキャラクターが「塊」を転がして身の回りのものを巻き込み,どんどん「塊」を巨大化させていくゲームです.大きくなると人や車,ビル,果ては島までも巻き込むことができ,快感溢れるゲームでした.

それはさておき,ここで私がお伝えしたいのは友人を「塊」で巻き込むことではなく,積極的に友人と議論を交わそうということです.変な話を挟んで大変申し訳ありません.

勉強できる人はよく「人に説明をすることで分からなかったところが明確になる」と言います.人に説明をする過程で,あるいは自分の理解を明文化する過程で,逆にどこが理解できていないのかを掴むことができます.さながら理解していない部分が篩に掛けられて浮かび上がってくるかのようです.このように,友人を議論に巻き込むことで,自分の理解がさらに進むかもしれないというわけです.

論文執筆編

最後に,論文を執筆する際に気をつけたいことを書き記していきます.執筆時に加えて発表時に関する部分もまとめてここに著します.

一貫性に気を付けろ

複数の論文を参考にして研究を行う場合,それぞれの論文が用いている定義や記法に齟齬が生じている可能性があります.初期で何かしらの書籍を参考にして研究を始めた場合,この書籍と新たに知見を得た論文や書籍との間でも記法の齟齬が生じることがあります.この食い違いを放置しておくと,後に自分が論文を書くときに地味に面倒なタスクを発生させます*11.これを防ぐためにも日頃から記法には敏感になっておくほうがよいかもしれません.

あるいは次のようなことも有効な手でしょう.私の友人の何人かは,研究が進むごとにまとめノートのようなものをLaTeXで作成していたようです.彼らは記法の齟齬を懸念してこれを行ったわけではなく,後に論文を書くときの準備として行ったと伺いましたが,こうすることによって,日頃から自分が使う定義や記法が整理されたのではないかと思います.また,自分の思考の過程をまとめること自体,価値があることでしょうから,私も次からは逐一まとめノートを作っていきたいと思っております.

また,論文に関わらず,文章全般を執筆する上で気をつけたいことですが,表記を統一することは重要です.例えば以下のような点について気をつけたことはありますか.

  • 人名をカタカナで表記するか,アルファベットで表記するか.(例.ゲルシュゴリン / Gershgorin)
  • どの漢字表記を使うのか.(例.線形性 / 線型性) *12
  • 漢字で書くのかひらがなで書くのか.(例.更に / さらに)*13

論文とスライドのお作法

これは訳が分かりません.具体的に引用はしませんが,近頃,どなたかのブログで見かけた「LaTeX論文の流儀」は別の方に散々非難されていましたし,私自身も,例えばemdashとendashの使い分けやコロンとセミコロンの使い分けなど,よく分からないことだらけです.

しかしながら,論文の執筆の際にはある程度の作法があり,上記の部分を気をつけないといけない場面もあります.どれが正しいか難しい部分もありますが,指導教員を含めた先達に確認をとって,注意して論文執筆に取り掛かるのが良いのかもしれません.

また,論文の執筆と並んでスライド作成についてもお作法があります.これも同じで指導教員を含めた先達に確認をして取り掛かるのが得策なのでしょう……

いずれにせよ,この部分は案外厄介な話ですので,卒論の反省の段階で細かく書くことは控えて別の記事で書きたいと思います*14

まとめ

書きたいことをつらつらと書きましたが,重要なのは実りある研究をするためには人との関係をしっかり築くということなのかもしれません.同時に自分の中で知識を整理して,何が未解決の問題として取り残されているのかを見極めることも重要でしょう.ここまでに述べたことがそれに役立つのか本当はわからないところもありますが,ひとまずここで卒論某の反省を終わりにします.

*1:今,周りで聞くことはあまりありませんが,私が幼い頃は親にそう教え込まれていました.

*2:どのくらいかは個人差が大きくあると思いますが…….

*3:おま……そ……そんなん許さんからな (激怒)

*4:BibTeXとは参考文献を管理・挿入するためのツールで,専らLaTeXで文章を作成する際に活躍します.通常は参考文献を挿入するには論文に対応する記法で要素を直接記述します.しかし,これでは別の記法との互換性が下がります.BibTeXの場合は与えられた文献データから定義された記法に沿った参考文献を出力してくれるので,非常に便利です.

*5:LaTeXで図と言えばTikZを思い浮かべる方もいるでしょうが,TikZを過度に使用することは予想以上に手間がかかるため,こだわりすぎないようにするのが得策だと思います……

*6:というよりこれがオーソドックスな方法だと思うので,むしろなぜ半年前の私は初めに専門書を借りて来なかったのか,今となっては不思議です.

*7:当時,学部2年か3年であった私には「ツッコミ力」ってなんだろうと思いピンと来ていませんでした.もしかすると今ですら正鵠を射てはいないかもしれませんが……

*8:もちろん一度に数ページを閲覧できる機能もありますが,マスの大きさに対して画面の大きさが小さく,何が書いてあるのかを視認することは困難です.

*9:古典アルゴリズムで,ソートされていないリストに対して要素探索を行うときには, \operatorname{O} (N)時間はかかると言われているので,これでも速いと言えるわけではありますが……

*10:これはもしかしたら私が電子ノートより紙ノートの方が慣れているからなのかもしれません.

*11:例えば書いた証明のノーテーションがずれていて,texファイルの該当部分から vを探し出して uに変えていくというような作業が発生し得ます.

*12:ソースを上げることはできませんが,基本的にこの二つは全く同じものとして(少なくとも私には)認識されています.恐らく「線型性」のほうがより古い書き方であり,そのため少し前に書かれた本やその頃から馴染みのある概念には「線型」の字が与えられることもあるかと思います.あくまで憶測の域を出ませんが…… ところで「巾集合」は今すぐに「べき集合」あるいは「冪集合」に改めてください.

*13:接続詞はひらがなで統一して書くことが多いようです.

*14:が,実際に記事を書くかどうかは分かりません.